成果事例紹介

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構造 組立鉄筋ユニットを用いた住宅用基礎 の設計・施工指針に関する技術開発

1.技術開発等のあらまし

(1)概要

(一社)日本住宅基礎鉄筋工業会(以下、JHR)で出版している、「推奨基礎仕様マニュアル 2010年版(べた基礎編)」および「推奨基礎マニュアル 2012年版(布基礎編)」に基づいた設計・施工指針を作成するために、以下の事業計画を行った。

1) JHR の設計・施工指針の内容の根本である、「推奨基礎仕様マニュアル(べた基礎編)」および「推奨基礎マニュアル (布基礎編)」を見直し、改定案を作成した。

2) 1)の内容に基づく設計・施工指針を作成し、2014~2018年度に住宅・建築物高度化事業の助成事業により技術開発した下記の製品の技術資料・使用マニュアルを作成し、設計・施工指針に組込む方法を示した。

  • 配管のためのスリーブ補強ユニット
  • 人通口のための着脱可能な点検補強システム
  • 基礎の接合部(出隅・入隅等の外周部、外周部・内部取合い部)の配筋システム
  • ホールダウン金物の補強用配筋システム

3) 実際の戸建て住宅の設計例を収集し、上記 2)の製品を組込んだ基礎を設計し、施工性の調査を行った。

(2)実施期間

令和元年度

(3)技術開発等に係った経費

技術開発等に係った経費(実施期間の合計額) 4,725,648円
補助金の額(実施期間の合計額) 2,362,824円

(4)技術開発等の構成員

  • 佐藤 収一 (一社)日本住宅基礎鉄筋工業会 理事長
  • 中野 克彦 千葉工業大学 創造工学部建築学科 教授
  • 磯 雅人 福井大学 工学部建築・都市環境工学科 教授
  • 松崎 育弘 東京理科大学 名誉教授
  • 迫田 丈志 (株)堀江建築工学研究所 取締役企画開発部長

(5)取得した特許及び発表した論文等

発表した論文
  • 平成27年8月、平成28年8月 日本建築学会(千葉工業大学建築学科 教授 中野克彦)
    スリーブ開口を有するシングル配筋 RC 造基礎梁の構造性能に関する実験的研究:
    日本建築学会大会学術講演梗概集
  • 平成30年8月 日本建築学会(千葉工業大学建築学科 教授 中野克彦)
    溶接組立鉄筋を用いた住宅基礎梁の接合部における構造性能に関する実験的研究:
    日本建築学会大会学術講演梗概集

2.評価結果の概要

(1)本技術開発等のアウトプット、アウトカム

アウトプット

組立鉄筋ユニットを用いた住宅用基礎の設計・施工指針に関する技術開発

アウトカム

➀ 施工品質の確保および施工時間の削減、② 補強金物の種類、流通方法の一元化による製品単価の削減、③ 配筋システム等を設計法に取り込むことによる過剰設計・過密配筋の削減 等により、生産性向上の効果があることを、抽出した戸建て住宅のサンプルの設計・施工計画をシミュレーションすることにより検討した。

(2)技術開発等の必要性

申請者である JHR には、組立鉄筋ユニットを製作・販売しているメーカー30 社が所属している。現状、各社が所有している設計・施工指針は、第三者評価機関における評定を取得しているが、2014~2016年度、2017~2018年度に国交省の助成事業を受けて開発した技術は取り込まれていない。また、過去 20年間で蓄積された技術的な問題点・改善点等が反映されていない。したがって、これらの新しい技術の使用方法が明確ではなく、各社ごとの対応となっているのが現状である。新しい設計・施工指針の骨組を作製することにより、組立鉄筋ユニットを用いた住宅用基礎の技術的レベルが確保され、基礎全体の品質が向上し、施工精度の均一化が図られる。

(3)技術開発等の効率性

JHR の会員らは、約 20年前から高性能型特殊スポット溶接より接合された組立鉄筋ユニットを用いたシングル配筋の RC 造基礎梁に関する研究に従事し、研究成果を建築学会等により報告してきた。一方では、第三者評価機関における評定を取得することにより、シングル配筋の RC基礎梁の配筋システムとしての組立鉄筋ユニットを定着させ、同様な鉄筋ユニットメーカー30社からなる一般社団法人日本住宅基礎鉄筋工業会(JHR)を設立している。これらのメーカーは日本全国から参加しており、組立鉄筋ユニットを用いたシングル配筋 RC 基礎梁の設計・施工において同様な問題を抱えている。本技術開発は、各メーカーの先導であり、問題点を解決するための手法を提示するものと言える。

(4)技術開発等の完成度、目標達成度

  • 全体の完成度、目標達成度 応募時の目標に対して 達成度70%
  • 技術開発項目毎の完成度、目標達成度
    1)組立鉄筋ユニットを用いた住宅用基礎の設計・施工指針に関する技術開発  達成度 70%

「JHR 設計・施工指針」として、「推奨基礎マニュアル(布基礎編)、(べた基礎編)」を改訂し、新技術の技術資料・施工マニュアルを作成し、新技術を組込んだ住宅基礎の試行設計・施工を実施した。JHR 協会内の 1 グループが、設計・施工指針の第三者評価機関による評定を取得した。取得した設計・施工指針に組込めた技術は 1 工法であり、現在、他の技術を組込むために、構造性能だけでなく全国の地域における耐久性・施工性の違いに対応するための準備作業を行っている。

(5) 市場化の状況

設計・施工指針が改善され、JHR 内で統一化されることにより、依頼主である設計事務所、住宅メーカーに供給する組立鉄筋ユニット、および施工状況の品質が確保され、不具合事象が減少する。また、生産価格も安定する。新しく組み込んだ技術開発の成果品の市場を示す。

・スリーブ補強ユニット: 3,000-/個 × 30万戸
・人通口点検補強システム:20,000-/個 × 30万戸
・接合部配筋システム:10,000-/個 × 30万戸
・接合部補強システム: 3,000-/個 × 30万戸

現状では、スリーブ補強ユニットのみが実用化され、設計・施工指針に組み込まれている。開発した製品は、JHR の加盟会社により販売されており、協会内の企業の施工実績、製品の売り上げ状況により効果を実証し、生産・販売体制を改善していく予定である。

(6)技術開発等に関する結果

成功点

本技術開発における成果品である「JHR 設計・施工指針」を基に、第三者評価機関における設計・施工指針の評定を、各社またはグループごとに評定を取得する予定である。現段階で、JHR 内の 1 グループが評定を取得した。

残された課題

取得した設計・施工指針の評定に組み込めた技術は、「配管のためのスリーブ補強ユニット」のみであり、他の技術は検討中である。製品として組み込むためには、構造性能のみではなく、日本全国の主要地域での、耐久性、施工性を含めた実用化に向けての施工試験による準備作業が追加検討として必要である。

3.対応方針

(1)今後の見通し

「JHR 設計・施工指針」を基に、JHR の他社、他グループによる第三者評価機関における評定の取得を進める。本指針に取込められていない開発技術を、全国の主要地域における耐久性・施工性に応じた試行設計・試行施工のデータを積み重ね、実用化に向けて準備する。






評価総括

成功点

RC 造基礎梁のシングル配筋における組立鉄筋ユニットの開発と配筋システムとして、「JHR設計・施工指針」のひな形(標準形)を作成した上で、JHR 内の各参加団体で評定取得する仕組みを構築している。

残された課題

現状では、「JHR 設計・施工指針」に示した開発技術のうち、評定に組み込めた技術は、「配管のためのスリーブ補強ユニット」のみであり、他の技術は検討中である。製品として組み込むためには、構造性能のみではなく、日本全国の主要地域での、耐久性、施工性を含めた実用化に向けての検討が必要である。

今後の展開への助言等

「JHR 設計・施工指針」を基に、JHR 内の各参加団体の更なる第 3 者審査機関における評定の取得を進めることが求められる。また、「JHR 設計・施工指針」による技術の更なる普及・展開のため、ハウスメーカー団体との連携(型式適合システムへの組込みなど)も有効と考えられる。