成果事例紹介

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構造 次世代優良住宅耐震システムの開発

1.技術開発等のあらまし

(1)概要

耐震性能の高い木造住宅の設計について、地盤情報から設計用入力地震動を自動生成し時刻歴応答解析を行うクラウドシステムを開発することで、耐震設計の過程を合理化する。
あわせて、このシステムで設計された住宅に専用のクラウド地震計測器を設置し、地震被災時に地震動を自動計測し、クラウド上で時刻歴応答解析を行うことでその住宅の被災時の損傷を解析し、損傷の復旧を効果的に行うシステムを開発した。

(2)実施期間

令和元年度~令和3年度

(3)技術開発等に係った経費

技術開発等に係った経費(実施期間の合計額) 99,228千円
補助金の額(実施期間の合計額) 49,614 千円

(4)技術開発等の構成員

  • 鈴木 強 一般社団法人 工務店フォーラム 理事
  • 槻橋正幸 株式会社 益田建設 技術企画開発部 課長
  • 中井俊樹 白山工業 株式会社 防災システム事業部長

(5)取得した特許及び発表した論文等

取得した特許

家屋の耐震性評価方法 出願審査中 特願 2019-01626

発表した論文

無し

2.評価結果の概要

(1)本技術開発等のアウトプット、アウトカム

アウトプット
  • 次世代優良住宅耐震システムによる高耐震住宅の設計プロセスの開発
アウトカム
  • 本技術で設計し従来法との生産性の向上効果を確認しました。
  • 作業時間 (時間・人/棟) 41.5 → 20.2 51.3% 削減
  • 人工数 (人・日/棟)   5.5 → 2.8 49.1% 削減
  • 工期 (日数/棟)     29 → 11.1 61.7% 削減
  • コスト (千円/棟)    210 → 125 40.5% 削減

(2)技術開発等の必要性

高い耐震性の木造住宅の設計を簡易におこなうことは、大きな地震が予想されている状況においてきわめて必要性が高くなっている。また、大地震時に筋かいや接合部の健全性は、スケルトンの状態にして確認する必要があり、解析で損傷の程度が確認できれば、大震災時に現地調査や、復旧計画に要する人員・コストを大幅に削減することが可能となる。

(3)技術開発等の効率性

本技術開発にあたり、外部事業者を活用することで、Linux に時刻歴応答解析ソフトを置き換え、システム構築を効率的に構築することができた。また、住宅事業者の協力を得ることで、実際の物件で設計効率を確認することができ、実際の建物で計測機器を設置し稼働状況を実証実験することができ効率的に開発が進んだ。

(4)技術開発等の完成度、目標達成度

  • 全体の完成度、目標達成度 応募時の目標に対して  達成度 100%
  • 技術開発項目毎の完成度、目標達成度
    1)設計プロセスの開発  達成度 100%
    2)計測プロセスの開発  達成度 100%
    3)解析システムの開発  達成度 100%
    4)設計プロセスの実証  達成度 100%
    5)計測プロセスの実証  達成度 100%
    6)解析システムの実証  達成度 100%

応募時に目標としていた開発・実証に関しては目標を達成することができました。技術開発終了後には、より利用しやすくするために機器のコストを下げる研究を継続している。

(5)市場化の状況

市場化に向けた準備を実施中。システムの商用化に関してセキュリティの強化に関する対策を検証中。運用するクラウドサーバー能力設定を検証中。さらに運用コストを下げるために計測機器を低コストで可能なスマートフォンを活用した専用アプリを開発中。
当初予定は開発終了後5面で市場化を目標としていたが、来年度の運用開始に向け準備中。

(6)技術開発等に関する結果

成功点

従来、木造住宅ではボーリング調査などの地盤調査データからの、設計用入力地震動は行っていない。本システムではクラウド化により、簡易な調査である微動探査データから、自動で時刻歴応答解析用の設計用入力地震動が出力、応答解析できるようになり、一般の木造住宅設計者にも容易に利用できるようになった。

残された課題

当初の計画通りに技術開発は終了した。計測機器を通信により常時接続し地震動の監視をおこなうことは、システム上は全く問題なく稼働するが、機器の初期コスト、運用の通信費やメンテナンスコストがかかる。今回の実証実験でも、消費者の反応としては、いつか地震が来ることは理解しているが、一定のコストを掛けることには抵抗が多い。そこで低いコストで運用できる仕組み造りが必要。計測機器にスマホを使用するため専用アプリを開発中。

3.対応方針

(1)今後の見通し

当初の技術開発項目の開発は完了したが、2(6)項残された課題として、より使いやすく低コストで運用するために、現在はスマホの汎用の地震計アプリを使っているが、新たな専用アプリを開発し、実装することで課題を解決し普及を促進したい。






評価総括

成功点

クラウド化により、簡易な調査で得られる微動探査データから、自動で時刻歴応答解析用の設計用入力地震動を出力、応答解析できるようになり、一般の木造住宅設計者にも容易に利用できるシステムが開発された。

残された課題

計測機器を通信により常時接続し地震動の監視を行うシステムについて、消費者が安心して安価に導入できるハード・ソフトの改善が求められる。

今後の展開への助言等

  • システムの設置事例を積み重ねながら、応答解析の精度検証に基づく改善、スマホによる場合の計測の精度向上を図り、より信頼性の高いシステムとして実用化を進めていくことが求められる。
  • 大地震後の通信障害、集中する被災建物の物件処理などについて検討を加えて、大地震動時に有効に機能しうるシステムを構築していくことが重要になる。